概要

1970年代、我が国は高度の経済発展を遂げた一方、豊かな人間性を求めて生産第一主義、物質主義への反省がなされ、世の中は産業中心から生活優先へ、すなわち人間のための経済発展への変革が行われようとしていました。
当時、既に将来の高齢化社会への進展は明白になっており、また高度成長に伴う労働人口の都市への集中によって、核家族化が進みつつありました。このような社会構造の変化は、社会保障制度を支える若年層の負担の増大、別居老人・一人暮らしの老人の増加を促進して、これに伴う高齢期における経済上、生活上、肉体的・精神的健康の問題が深刻化することを意味していました。

日本老人福祉財団は、このような70年代のはじめに、いち早く高齢化問題に正面から向き合いました。1973年に財団法人日本老人福祉財団を設立して、問題解決の一つの手法として、高齢者が自立し、経済上、生活上、健康上の安心と安定を得ることができる相互扶助型の高齢者コミュニティの創設を提案しました。私たちは、その高齢者コミュニティを〈ゆうゆうの里〉と名付け、健康な時から最期まで、各自の必要に応じて、「住まい・設備」「生活支援」「介護」「医療」「保健」「食事」「運動」「アクティビティ」等のサービスを、ケアマネジメントに基づき継続的一体的に提供する終身利用型の相互扶助システムの確立と、アクティブ・シニアの自立生活を支援するコミュニティの創造を目指してきました。

現在、日本老人福祉財団は、〈ゆうゆうの里〉を7拠点運営しています。関東には、佐倉(千葉県)、湯河原(神奈川県)、東海には伊豆高原(静岡県)、浜松(静岡県)、関西には京都(京都府)、大阪(大阪府)、神戸(兵庫県)で、運営しております。
団塊世代が後期高齢者となる2025年に向け、地域包括ケアの拠点としての〈ゆうゆうの里〉をはじめとした高齢者コミュニティの創造を、今後も積極的に進めてまいります。